好酸球性副鼻腔炎(アレルギー体質の方に多い)
好酸球性副鼻腔炎
鼻づまり・嗅覚低下・再発を繰り返す副鼻腔炎 —それは「好酸球性副鼻腔炎」かもしれません
「鼻がいつも詰まっている」「においがわからない」「鼻ポリープを何度も繰り返している」
このような症状がある場合、好酸球性副鼻腔炎(こうさんきゅうせいふくびくうえん)の可能性があります。
この病気は、一般的な副鼻腔炎(ちくのう症)とは異なり、アレルギー体質や喘息をお持ちの方に多く、再発しやすい難治性疾患であることが特徴です。
好酸球性副鼻腔炎とは
好酸球性副鼻腔炎とは、鼻の奥(副鼻腔)に好酸球(こうさんきゅう)という炎症細胞が異常に集まり、粘膜が強く腫れて鼻茸(ポリープ)やドロッとした膿状の分泌物ができる病態です。
慢性の副鼻腔炎の中でも、特に治療が難しく治りにくい「難治性副鼻腔炎」に分類されており、従来の一般的な抗生剤や通常の点鼻薬の投与だけでは、十分に改善しにくいのが大きな特徴です。
好酸球とは?
好酸球とは、本来アレルギー反応の制御や寄生虫に対する生体防御に関与している、白血球の一種(免疫細胞)です。
喘息やアレルギー体質を背景にお持ちの方では、この好酸球が何らかの引き金によって過剰に活性化し、副鼻腔の粘膜を自ら傷つけて強力な慢性炎症を持続させてしまうと考えられています。
主な症状
好酸球性副鼻腔炎では、一般的なちくのう症よりも、高度な嗅覚の低下や多発するポリープが目立ちます。
- 慢性的な鼻づまり:鼻粘膜の激しい肥厚や、空気の通り道を塞ぐ巨大なポリープにより、鼻呼吸が困難になります。
- ねばつく鼻水:白濁、または黄色がかった粘り気の非常に強い鼻水が絶えず出ます。
- 高度な嗅覚障害(においがわからない):においを感じ取る最奥の嗅裂(きゅうれつ)領域に好酸球や鼻茸が集中するため、早期からにおいを全く自覚できなくなることが多いです。
- 鼻茸(ポリープ)の多発:炎症によってゼリー状に膨らんだキノコのような鼻茸が、左右の鼻腔内に複数多発します。
- 後鼻漏(こうびろう)・長引く咳:粘度の高い鼻水が喉の奥へ絶えず流れ込み、イガイガ感や痰の絡むしつこい咳を誘発します。
- 喘息やアレルギーの併発:多くの場合、気管支喘息や中耳炎(好酸球性中耳炎)を合併しており、呼吸がさらに苦しくなる傾向があります。
好酸球性副鼻腔炎の特徴
この難治性疾患は、一般的な副鼻腔炎とは以下のような点で明確な違い(特徴)を持っています。
アレルギー体質・喘息との関連
気管支喘息やアレルギー性鼻炎をお持ちの方に圧倒的に多く発症します。呼吸器全体の好酸球性アレルギー炎症の一環として、鼻と気管支が連動して悪化する「one airway, one disease(同一気道、同一病態)」の代表格です。
手術後も極めて高い再発率
細菌感染が原因のちくのう症は、手術(排膿)によって綺麗に治ることがほとんどですが、本症はご自身の免疫異常(好酸球の過剰反応)が本質的な原因のため、内視鏡手術でポリープを除去した後も、非常に高い確率でポリープが再発します。
嗅覚障害が極めて高度になりやすい
においを感知するセンサー細胞が集まる鼻の最上部に、初期から好酸球の浸潤を伴う炎症が起こるため、においが非常に分からなくなり、放置すると嗅覚機能が完全消失してしまうリスクがあります。
抗生物質(抗菌薬)が効きにくい
一般的なちくのう症に第一選択されるマクロライド系などの抗生剤の長期投与が、好酸球によるアレルギー炎症に対してはほとんど効果を発揮しません。治療には特殊なアプローチが必要です。
当院での検査
新宿内科耳鼻科クリニックでは、単なるちくのう症か、難治性の好酸球性副鼻腔炎かを専門的な設備で慎重に特定します。
- 問診・鼻内視鏡検査(ファイバースコピー):極細の内視鏡電子スコープカメラを鼻腔に挿入し、嗅裂や副鼻腔の通気口を直接観察。粘膜の腫れ、特徴的な多発性ポリープ(鼻茸)、白濁した粘液の状況をその場で確認します。
- 精密な血液検査:採血によって、血液中に存在する好酸球の割合(血中好酸球比率)をダイレクトに測定します。これが基準値を超えて高い場合、好酸球性疾患の強力な裏付けとなります。
- 提携画像検査(必要時):副鼻腔への炎症の広がりを詳細にマッピング評価するため、提携する高度医療機関で頭部CTスキャンを実施し、画像データの精査を行います。
治療方法
好酸球性副鼻腔炎の治療は、お鼻の炎症を最小限に抑える「維持療法」と、喘息を含めた「全身管理」を組み合わせます。
● 薬物療法
- ステロイド点鼻薬・点鼻治療:お鼻の局所に直接作用させ、好酸球による激しい粘膜の腫れや鼻茸の拡大を抑え込むメインの維持療法です。
- 抗ロイコトリエン薬(内服):好酸球性アレルギー反応を抑制し、しつこい鼻づまりや気道炎症を根本から鎮めます。
- 生物学的製剤(デュピクセント等)の連携提案:従来の治療や手術でも再発を繰り返す最重症の患者様に対しては、好酸球の活性化を強力にブロックする注射製剤(抗IL-4/13受容体抗体)の適応を検討し、治療可能な提携専門病院と密に連携・ご紹介を行います。
● 手術療法(提携病院で実施)
薬物療法でも縮小しない巨大な多発鼻茸(ポリープ)が鼻腔を完全に塞いでいる場合は、提携先病院(国立国際医療研究センター病院、慶應義塾大学病院、東京女子医科大学病院など)にて「内視鏡下鼻副鼻腔手術(ESS)」を安全に受けていただき、空気の通り道と副鼻腔の換気ルートを物理的に確保します。手術後もお鼻が綺麗になった状態を保つための「維持点鼻・洗浄」が極めて重要です。
● 徹底した生活指導
- 日常的な鼻うがい:生理食塩水でお鼻の奥に付着した好酸球の活性物質やアレルゲン、粘り気のある粘液を綺麗に洗い流し、粘膜を常に清潔に保ちます。
- お部屋の徹底加湿と空気清浄:ハウスダストやダニ、花粉などのアレルギー刺激物質を徹底して遠ざけます。
- 喘息・全身アレルギーの継続治療:糖尿病内科、循環器内科、耳鼻科専門医の連携力を活かし、喘息のお薬を絶やさず、身体全体の免疫炎症レベルを低く管理します。
放置するとどうなる?
「治りにくいちくのう症だから」と治療を諦めて放置することは、呼吸器全体の深刻な悪化を招きます。
好酸球性副鼻腔炎を放置するリスク:
- 嗅覚障害の完全な固定化(嗅覚消失):においの神経(嗅神経)が好酸球の強い毒性物質によって長期間傷つけられ続けると、将来的に手術や点鼻を行っても、においが全く戻らなくなってしまいます。
- 気管支喘息の劇的な悪化:お鼻の好酸球炎症がコントロールを失うと、気管支の炎症も同時に引きずられて悪化し、喘息発作(激しい咳き込みや呼吸困難)の頻度が増え、重症難治性喘息へと進行する原因になります。
- 睡眠時無呼吸の悪化とQOL(生活の質)の著しい低下:完全な鼻閉塞により、睡眠が激しく妨げられ、日中の強い倦怠感やパフォーマンスの低下、いびきの深刻化を誘発します。
Q&A:好酸球性副鼻腔炎について
Q1. 以前に別の病院でポリープを切除する手術をしたのに、また鼻づまりとポリープが再発してしまいました。なぜですか?
A. 好酸球性副鼻腔炎の最も大きな特徴が「手術後の非常に高い再発率」です。この病気は、細菌感染ではなく「ご自身の好酸球(アレルギー細胞)が異常に集まる免疫反応」が本質的な原因であるため、手術で一度物理的に鼻茸を取り除いても、その後に適切な抗炎症コントロール(維持点鼻薬など)を毎日根気強く続けなければ、お鼻の粘膜から再びポリープがぷっくりと発育してきてしまいます。術後の維持治療が極めて大切です。
Q2. この病気は治療を行えば、いつかは「完治」して薬を飲まなくてよくなりますか?
A. 現代医学において完全に体質をリセットして「完治」させることは難しいですが、適切な治療を続けることで「症状が全くない良好な状態(コントロール状態)」を生涯維持することは十分に可能です。喘息の治療と同じように、点鼻薬や鼻うがいを日常の歯磨きのような習慣として無理なく取り入れ、ポリープの再発を防ぎ、においのある快適な暮らしをしっかりと守り抜いていきましょう。
Q3. 好酸球性副鼻腔炎と気管支喘息が「深く関係している」と言われるのはなぜですか?
A. お鼻(副鼻腔)も気管支(肺)も、同じ「好酸球」というアレルギー細胞が入り込んで炎症を起こす、一本のつながった気道だからです。そのため、お鼻の好酸球性炎症がひどくなると喘息の発作が誘発されやすく、逆にお鼻の治療(点鼻やデュピクセント等)を適切に行ってお鼻がすっきり改善すると、喘息の呼吸器症状も同時に驚くほど劇的に和らぐことが証明されています。鼻と肺をセットで総合管理することが大切です。
Q4. 鼻づまりのせいで最近まったくにおいがしません。治療を行えば、においは戻りますか?
A. 炎症が比較的初期の段階であり、においを感じる嗅神経のダメージが浅い状態であれば、ステロイド治療やポリープの縮小・切除によって、以前のクリアな嗅覚を十分に取り戻すことができます。しかし、何年も「においがしない状態」を我慢して放置してしまうと、においのセンサー細胞が完全に萎縮してしまい戻りにくくなりますので、一刻も早い耳鼻咽喉科への受診が必要です。
Q5. 新しい治療薬の「デュピクセント治療」に興味があります。当院で受けられますか?
A. はい、ご相談を承っております。デュピクセントは好酸球の活性化を分子レベルで直接ブロックする画期的な生物学的製剤(自己注射製剤)です。当院では、生物学的製剤治療や導入実績の豊富な連携大学病院とがっちりスクラムを組み、精密な適応診断や治療提案、導入後の処方管理伴走を行っています。重症で再発に長年お悩みの方は、ぜひお気軽にお尋ねください。
新宿・東新宿で好酸球性副鼻腔炎の診療なら
新宿内科耳鼻科クリニックでは、慢性的な鼻づまり・嗅覚障害・鼻茸の再発など、好酸球性副鼻腔炎を含む難治性副鼻腔炎の診療を行っています。
耳鼻咽喉科専門医による内視鏡検査・血液検査・薬物療法を組み合わせ、患者さま一人ひとりに合わせた最適な治療計画をご提案します。アレルギー体質・喘息をお持ちの方も、どうぞ安心してお気軽にご相談ください。快適な鼻呼吸をしっかりと取り戻し、豊かな日常を一緒に守っていきましょう。
新宿内科耳鼻科クリニック 医師メッセージ
「何度手術をしても鼻ポリープがすぐできてしまう」「もうにおいがしなくなって諦めている」と、鼻づまりの不快感を諦めていませんか?鼻呼吸は、肺へ届く空気を温め、適度な潤いを与え、空気中のウイルスやホコリを除去する唯一無二の天然加湿フィルターです。これが失われて口呼吸になると、おのどの痛みを頻発させ、日中の激しい眠気や仕事・勉強のパフォーマンス低下など、生活の質全体を著しく引き下げてしまいます。当院では糖尿病内科、循環器内科、そして耳鼻咽喉科専門医がスクラムを組み、お鼻の構造異常(骨の歪み)や慢性アレルギーを詳細な内視鏡検査などでスピーディに特定し、患者様のライフスタイルに最も寄り添う治療を丁寧に伴走いたします。平日は夜19時まで、東新宿駅直結すぐの抜群の環境を整えてお待ちしております。どうぞお気軽にご来院の上、ご相談ください。
新宿内科耳鼻科クリニック
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