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【内科医師解説】インフルエンザに一度かかったらもうかからない?1シーズンで2回以上感染する理由と予防法

[2026.09.04]

インフルエンザは1シーズンに2回かかる?再感染と予防

「今年すでにインフルエンザにかかったから、もう今シーズンは大丈夫」と考えて安心していませんか?

結論から申し上げますと、インフルエンザに一度かかった方であっても、同じシーズン内に再びインフルエンザに感染する可能性は十分にあります。 実際に、当内科クリニックの現場でも「12月にA型にかかったのに、2月にまた発熱して検査したらB型(または別のA型)だった」という患者様は毎年いらっしゃいます。

「1度かかれば強力な免疫ができるのではないか」と思われがちですが、インフルエンザウイルスの特性上、1度の感染ですべてのインフルエンザに対する完全な予防効果が得られるわけではありません。そのため、今シーズンすでに発熱して回復された方であっても、引き続き十分な警戒と予防対策が必要です。

なぜ同じシーズンに何度もインフルエンザにかかるのか?

一度感染して抗体(免疫)ができたはずなのに、なぜ再びインフルエンザにかかってしまうのでしょうか。それには主に3つの明確な理由があります。

ウイルスの「型(種類)」が複数存在するため

インフルエンザウイルスには、大きく分けて「A型」と「B型」(およびC型・D型)が存在します。ヒトの間で毎年流行を起こすのは主に「A型」と「B型」の2種類です。

1度目の感染で免疫が作られるのは、「その時感染した特定の型のウイルス」に対してのみです。たとえば、12月に「A型」に感染して免疫を獲得しても、その免疫は「B型」のウイルスに対してはほとんど効果を発揮しません。そのため、シーズン中にA型とB型の両方に順番に感染してしまうという現象が起こります。

A型ウイルスの中にさらに「亜型(Subtype)」があるため

「A型に一度かかったから、もうA型にはかからない」というのも実は誤解です。A型インフルエンザウイルスは変異しやすく、表面にあるタンパク質(HAとNA)の組み合わせによって、さらに細かく多くの「亜型」に分類されます。

近年日本で毎年流行する主なA型インフルエンザには、以下の2つがあります。

  • A/H1N1(平成21年にパンデミックを起こした型)

  • A/H3N2(いわゆる香港型)

もし今シーズン最初に「A/H1N1」に感染した場合、体内にできるのはA/H1N1に対する抗体です。その後、世間で「A/H3N2(香港型)」が流行した場合、1度目の免疫では防ぎきれず、同じシーズン中に2回目の「A型インフルエンザ」にかかることが起こり得ます。

体内の抗体量(免疫力)の低下や個人の体調による影響

ウイルスに感染すると体内で抗体が作られますが、その抗体の量や維持期間には個人差があります。睡眠不足、過労、ストレス、栄養不足などによって免疫力が低下していると、たとえ一度感染して抗体を持っていたとしても、体内に侵入した少量のウイルスを抑えきれずに再発症してしまうケースがあります。

再感染のケースとよくある質問(FAQ)

どのようなパターンで再感染が起こるのか、また受診時の注意点について、当クリニックによく寄せられる質問をもとに具体的に解説します。

事例パターン1:12月にA型、2月にB型にかかる(最も多いパターン)

インフルエンザの流行には時期による傾向があります。一般的に、シーズン前半(11月〜1月頃)はA型インフルエンザが猛威を振るい、シーズン後半(2月〜4月頃)にかけてB型インフルエンザの流行がピークを迎えることが多く見られます。

そのため、「年末に高熱が出てA型と診断され、すっかり治って安心していたら、春先の2月下旬に再び高熱が出てB型と診断された」というケースは非常に典型的な再感染パターンです。

事例パターン2:インフルエンザ予防接種(ワクチン)を打っていたのに2回かかった

「予防接種を受けて、さらに1回インフルエンザにかかったのに、またかかってしまった」というご相談を受けることもあります。

インフルエンザワクチンは、その年に流行が予測される「A型2種類+B型2種類」の計4種類の株を混ぜ合わせた4価ワクチンです。ワクチン接種の主な目的は「感染の完全な予防」ではなく「発症や重症化の予防」です。

ワクチンを打っていても、一度実物に感染していても、体調やウイルスの暴露量によっては2回目の発症を防げないことがあります。ただし、ワクチンを接種していたり一度かかって免疫の基礎があったりする方は、2回目の感染時の症状が比較的軽く済む傾向があります。

よくある質問(FAQ形式)

Q1. 1回目と2回目で症状の違いはありますか?

A. 型によって症状の出方に多少の特徴があります。一般的にA型は突然の38度以上の高熱、強い関節痛・筋肉痛、全身の倦怠感が強く出やすい傾向があります。一方、B型は高熱に加えて、下痢や腹痛、嘔吐などの消化器症状を伴いやすいという特徴があります。ただし個人差が大きいため、症状だけで型を正確に見分けることはできません。

Q2. 2回目の感染時も抗ウイルス薬(タミフルやゾフルーザなど)は使えますか?

A. はい、医師の診断のもとで適切に使用できます。1回目と同様に、発症から48時間以内に適切な抗ウイルス薬を服用開始することで、ウイルスの増殖を抑え、熱が出る期間を短縮する効果が期待できます。前回と異なる型であっても、主要な抗ウイルス薬はA型・B型の両方に効果があります。

Q3. 再度熱が出た場合、いつ内科を受診すればよいですか?

A. 発熱してから12時間〜24時間程度経過したタイミングでの受診をおすすめします。発熱直後(数時間以内)に医療機関で迅速検査を行っても、体内のウイルス量が少なすぎて「陰性」と判定されてしまう(みなし陰性)ことがあるためです。ただし、水分が摂れない、意識が朦朧とする、息苦しいなどの重症化サインがある場合は、時間にかかわらず速やかに受診してください。

今シーズン2回目の感染を防ぐための予防策

「一度かかったから大丈夫」と油断せず、シーズン終了までは以下の基本的な予防策を徹底しましょう。

  1. こまめな手洗人と手指消毒 外出先から戻った際や食事の前には、石けんと流水による丁寧な手洗いを行ってください。ウイルスは手を介して鼻や口の粘膜から体内に入り込みます。

  2. 適切な湿度管理と換気 インフルエンザウイルスは乾燥した環境を好みます。室内の加湿器を活用し、湿度50%〜60%を保つようにしましょう。また、定期的に窓を開けて換気を行うことも有効です。

  3. 十分な休養とバランスの良い食事 免疫力を維持・向上させることが最大の防御策です。十分な睡眠時間を確保し、栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。

  4. 人ごみでのマスク着用と咳エチケット 流行期に混雑した場所へ外出する際は、不織布マスクの着用が効果的です。

発熱や風邪症状を感じたら我慢せず内科へ

改めてまとめますと、インフルエンザは一度かかったからといって、今シーズンもうかからないということはありません。 A型とB型の違いや、A型の中での亜型の違いにより、1シーズン中に2回、場合によっては3回感染する可能性が存在します。

  • 「今期すでにインフルエンザをやったからただの風邪だろう」

  • 「一度かかったからインフルエンザの検査をする必要はないはず」

このように自己判断してしまうと、周囲への感染拡大につながったり、適切な治療の開始が遅れて重症化したりするリスクがあります。

当院では、インフルエンザの迅速抗原検査をはじめ、患者様の症状やタイミングに合わせた最適な診療・処方を行っております。「再び高熱が出てきた」「周囲でB型が流行し始めた」「風邪かインフルエンザか分からない」など、体調に不安を感じた際は、我慢なさらずにお早めにご相談・受診してください。

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