朝起きたときに枕やシーツがぐっしょり濡れている、夜中に汗をかきすぎて目が覚め、パジャマを着替えなければならない、といった「寝汗」に悩まされていませんか。
人間は寝ている間、体温を下げるためにコップ1杯ほどの汗をかきます。これは体の機能を維持するための正常な生理現象です。しかし、季節に関係なく毎晩のように大量の汗をかく場合や、日常生活に支障が出るほどの寝汗が続く場合は、単なる暑さや体質の問題ではなく、体からの重大なSOS、つまり何らかの病気のサインである可能性があります。
本記事では、寝汗が起こる主な原因、注意すべき危険な寝汗の特徴、そして医療機関を受診する目安について、内科医の視点から詳しく解説します。
生理的な寝汗と対策
病気ではない日常的な要因によって、一時的に寝汗が増えることがあります。まずはこれらに該当しないか確認してみましょう。
睡眠環境や衣類の影響
室温や湿度が適切でない場合、当然ながら寝汗は増えます。また、吸湿性や通気性の悪いパジャマ、保温性が高すぎる寝具を使用していることも原因になります。
アルコールや辛いものの摂取
就寝前の飲酒は、アルコールが分解される過程で血管を拡張させ、体温を上昇させるため大量の寝汗を誘発します。また、夕食にスパイスの効いた辛い食べ物を多く摂ることも、交感神経を刺激して発汗を促す一因となります。
内科領域で考えられる寝汗の原因(病気・体調の異常)
環境を整えても改善しない頑固な寝汗の背景には、以下のような自律神経の乱れや内科的疾患が隠れていることがあります。
自律神経の乱れ・ストレス
私たちの体温や発汗は、自律神経によってコントロールされています。過度なストレスや慢性的な睡眠不足、疲労などが重なると、本来は睡眠中に優位になるはずの「副交感神経」がうまく働かず、体を興奮させる「交感神経」が過剰に働いてしまいます。これにより、睡眠中にもかかわらず体温が下がりにくくなり、大量の寝汗をかくようになります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
喉のあたりにある甲状腺から、全身の代謝を促進するホルモンが過剰に分泌される病気です。常に体が全速力で走っているような状態になるため、体温が上がり、多汗や寝汗、動悸、手の震え、食べているのに体重が減るといった症状が現れます。
感染症(結核や慢性的な炎症)
体内に細菌やウイルスが侵入すると、免疫システムがこれらと戦うために体温を上げます。特に「結核」は、微熱と同時に激しい寝汗(盗汗とも呼ばれます)を伴うことで知られている代表的な疾患です。そのほか、慢性的な気管支炎や扁桃炎などの感染症でも寝汗が見られることがあります。
薬剤の副作用
現在服用しているお薬の副作用で寝汗をかいている可能性もあります。代表的なものとして、解熱鎮痛薬、一部の抗うつ薬や精神安定剤、血圧を下げるお薬、糖尿病の治療薬(夜間に血糖値が下がりすぎる低血糖症状のサインとしての寝汗)などが挙げられます。
今すぐ医療機関を受診すべき「危険な寝汗」のサイン
寝汗に加えて以下のような症状がみられる場合は、放置せず早めに内科を受診してください。
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着替えが必要なほどの大量の寝汗が2週間以上続いている
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寝汗だけでなく、日中も37度台の微熱が続いている
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ダイエットをしていないのに、ここ数ヶ月で急激に体重が減った
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夜間に激しい寝汗をかくと同時に、動悸や息切れがする
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首の付け根や脇の下、足の付け根などのリンパ節が腫れている
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咳や痰が何週間も止まらない
これらの症状を伴う寝汗は、甲状腺の異常や慢性の感染症、あるいは血液の病気(悪性リンパ腫など)といった、専門的な治療を必要とする疾患の初期症状であるリスクが高くなります。
まとめ
「たかが寝汗」と自己判断で放置してしまうと、背景にある病気の発見が遅れてしまうことがあります。寝具やエアコンの温度調節をしても改善しない、あるいは全身の倦怠感や微熱など他の症状を伴う場合は、体のバランスが崩れている証拠です。
内科を受診していただければ、血液検査や画像検査などを行い、ホルモンバランスの異常や感染症の有無を的確に診断し、それぞれの原因に応じた適切な治療を行うことができます。
当院の内科では、原因のわからない寝汗やそれに伴う体調不良、自律神経の乱れ、生活習慣病などの診療を行っております。「最近、夜中に汗をかいてぐっすり眠れない」「体調が優れないのに原因がわからない」とお悩みの方は、どうぞ無理をなさらず、お気軽に当院へご相談ください。