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2024年6月blog

治らないアレルギー性鼻炎。実は慢性副鼻腔炎の可能性があります。~最近の研究報告から新宿・東新宿にある耳鼻咽喉科の医療ブログ~

2024.06.18 | 耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科の話題を一つ。

アレルギー性鼻炎の診断で長く治療を受けているものの、なかなか治らないというご経験をお持ちの方はいませんか?

アメリカのシンシナティ大学、耳鼻咽喉科頭頚部外科の先生からの研究報告で、「実は慢性副鼻腔炎の患者さんであったケースが多く見られ、副鼻腔炎の治療を開始することで症状が改善した」という内容です。シンシナティといえば、スティーブン・スピルバーグ(映画監督)やピート・ローズ(元MLB野球選手)の出身地としても有名ですね。

筆頭著者のSedaghat先生は、アレルギー性鼻炎だと信じ込まれて数か月、場合によっては数十年アレルギーの治療を受けてきて、結果的に慢性副鼻腔炎であった患者を非常に多く見てきたとのこと。

米国人の約15%が慢性副鼻腔炎であり、日本においてもとても身近な病気です。

誤診される最も大きな理由が、症状がとても似ているということです。鼻水、鼻づまりは最もよく見られる症状である他、鼻の奥の圧迫感もどちらでも持ちえます。

前提として、

①アレルギー性鼻炎とは

アレルゲンと呼ばれる特定の物質に対する過敏性反応が原因で起こる鼻の炎症であり、アレルゲンとしては、花粉、ハウスダスト、ペットの毛や皮膚の一部、カビなどが一般的です。炎症は鼻の粘膜の過敏反応により引き起こされ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血などの症状が出現します。

アレルギー性鼻炎は季節性のものと常態性(通年性)のものに分類されます。季節性の場合、特定の花粉などのシーズンに反応が起こりやすくなりますが、常態性の場合は年間を通じて症状が持続することがあります。治療方法としては、アレルギーの原因となる物質を避けること、抗アレルギー薬の使用、点鼻薬が一般的に使われます。

②慢性副鼻腔炎とは

副鼻腔(鼻の周りにある空洞)の炎症が長期間持続する状態です。そもそも、副鼻腔とは空気を加熱・加湿し、過剰な粘液や微粒子を除去する役割を果たしていますが、このように炎症が生じると、鼻づまり、鼻水、顔面や頭部の圧迫感や痛み、嗅覚の低下、頭痛、喉の痛みや咳などの症状を生じます。

原因としては、細菌やウイルスによって炎症が生じるもの(非好酸球性)とアレルギー性に炎症が生じるもの(好酸球性)に大別することもでき、一般的には好酸球性のタイプは治りにくいです。

また、急性副鼻腔炎が治癒せずに慢性化するケースや、鼻のポリープや鼻中隔彎曲(鼻の仕切りが曲がっていること)、異物、アレルギー反応、免疫不全状態なども原因となりえます。診断は、症状以外には鼻の内視鏡検査、CTスキャンなどによって行われ、治療としては抗生物質や抗炎症薬、鼻洗浄、手術などがあります。

 

Sedaghat先生の研究から言いたいころをサマリーすれば、

「アレルギーと慢性副鼻腔炎が混同されたことで、長い間苦しまざるを得なかった患者さんを数多く見てきた」

「それまで何年も抗アレルギー薬を服用して治らないという方であれば、慢性副鼻腔炎である可能性があり、治療法が見つかるかもしれない」

「中等度以上の鼻づまり、鼻水、また少しでも味覚臭覚に異常を感じるのであれば、鼻腔への内視鏡検査にて実は慢性副鼻腔炎であったという可能性は十分にある」

ということです。

 

もちろん、中にはアレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎を併存しているケースも多くあります。ただし、長いこと抗アレルギー薬投与のみで、症状のコントロールに不満をかかえているのであれば、一度、慢性副鼻腔炎も疑って耳鼻咽喉科を受診する価値はあると思います。

当院では、耳鼻咽喉科では幅広く診断・治療を行っております。お気軽にご相談・ご来院ください。

参考文献:

When It’s Not Allergic Rhinitis: Clinical Signs to Raise a Patient’s Suspicion for Chronic Rhinosinusitis.

Houssein FA, et al. Otolaryngol Head Neck Surg. 2024.