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難治性喘息、標準治療では息苦しさ・咳が収まらない。。。生物製剤という選択肢。
喘息のコントロールが上手くいかなくて困っている方は少なくないと思います。
難治性喘息(難治性喘息)に対する治療は、一般的な喘息治療よりも複雑で、複数のアプローチを組み合わせることがよくあります。ここでは、難治性喘息の治療に関する主要な戦略をいくつか挙げます。
薬物治療
- 吸入ステロイド薬: 基本治療の中心であり、定期的に使用することが重要です。適切な用量と使用方法が効果を最大化します
- 長時間作用性β2刺激薬 (LABA): 吸入ステロイド薬と併用されることが多いです。
- 抗コリン薬(LAMA): 特にCOPDの治療薬として知られていますが、難治性喘息の場合には有効なこともあります。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA): ロイコトリエンという炎症物質を抑える薬で、喘息の症状を緩和します。
- テオフィリン徐放製剤: 気管支を広げる効果があります。
- 生物学的製剤: 抗体製剤などが含まれ、特定の炎症経路をターゲットにします。
抗IgE抗体(オマリズマブ): IgEをターゲットにすることで、アレルギー反応を抑制します。商品名:ゾレア
抗IL-5抗体(メポリズマブ、レズリズマブ): IL-5は好酸球の増殖に関与しており、その抑制が喘息の症状を改善します。商品名:ヌーカラ
抗IL-4Rα抗体(デュピルマブ): IL-4およびIL-13という炎症メディエーターを抑制することで効果を発揮します。商品名:デュピクセント
非薬物治療
- 気管支熱形成術: カテーテルを用いて気道の平滑筋を加熱し、気道の過敏性を低下させます。
- 喘息のトリガー管理
A. アレルゲン回避: アレルゲンが引き金となる場合、環境管理やアレルゲン免疫療法が有効です。
まずは血液検査でアレルギー検査を受けましょう。当院では迅速41種類アレルギー検査器にて当日結果をご報告しています。現時点で特定のアレルゲンをお持ちであるかを認識することは喘息をお持ちの方には重要なことです。
環境因子の管理: 喫煙、空気汚染、化学物質などの環境因子をできる限り避けるようにします。
生活習慣の改善: 禁煙やアレルゲンの除去、ストレス管理などが重要です1。
B. その他のアプローチ
- 併存症の治療: 副鼻腔炎や肥満など、喘息を悪化させる要因の治療も重要です。
耳鼻科疾患の既往や症状がある場合は、当院では耳鼻咽喉科医に問題がないか診察をしてもらいます。
- 吸入手技の確認: 正しい吸入方法を習得することが効果的な治療に繋がります。
薬物療法における1-4までの治療は一般的に行われる標準治療といえます。個人の体質や生活環境などによって、特に吸入薬は多くの選択肢がありますので、1-4までの組み合わせをベストにすることでコントロールが可能なことが大半です。
それでもコントロールがつかない喘息患者さんが少なくないのは事実であり、現在注目されている治療法としては、5の生物学的製剤の併用する方法です。皮下注射をおおよそ月1-2回行うことでアレルギー反応を大幅に抑制することで、結果的に喘息のコントロールをつけることができます。
対象疾患としては、スギ花粉症や蕁麻疹においても行います。
アレルギーに対する従来の治療法ではコントロールできない方には大変有効で安全性にも優れた良い治療ですが、生物製剤のため薬剤が比較して効果であることがネックになっています。およそ3割自己負担の方で、月に1~2万円の自己負担が生じます(確定申告で医療費控除の対象になるため、その分の税負担軽減はあります)。
→当院では重症患者さんに対する、生物製剤の導入も積極的に行っておりますので、お気軽にご相談ください。
治らないアレルギー性鼻炎。実は慢性副鼻腔炎の可能性があります。~最近の研究報告から新宿・東新宿にある耳鼻咽喉科の医療ブログ~
耳鼻咽喉科の話題を一つ。
アレルギー性鼻炎の診断で長く治療を受けているものの、なかなか治らないというご経験をお持ちの方はいませんか?
アメリカのシンシナティ大学、耳鼻咽喉科頭頚部外科の先生からの研究報告で、「実は慢性副鼻腔炎の患者さんであったケースが多く見られ、副鼻腔炎の治療を開始することで症状が改善した」という内容です。シンシナティといえば、スティーブン・スピルバーグ(映画監督)やピート・ローズ(元MLB野球選手)の出身地としても有名ですね。
筆頭著者のSedaghat先生は、アレルギー性鼻炎だと信じ込まれて数か月、場合によっては数十年アレルギーの治療を受けてきて、結果的に慢性副鼻腔炎であった患者を非常に多く見てきたとのこと。
米国人の約15%が慢性副鼻腔炎であり、日本においてもとても身近な病気です。
誤診される最も大きな理由が、症状がとても似ているということです。鼻水、鼻づまりは最もよく見られる症状である他、鼻の奥の圧迫感もどちらでも持ちえます。
前提として、
①アレルギー性鼻炎とは
アレルゲンと呼ばれる特定の物質に対する過敏性反応が原因で起こる鼻の炎症であり、アレルゲンとしては、花粉、ハウスダスト、ペットの毛や皮膚の一部、カビなどが一般的です。炎症は鼻の粘膜の過敏反応により引き起こされ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血などの症状が出現します。
アレルギー性鼻炎は季節性のものと常態性(通年性)のものに分類されます。季節性の場合、特定の花粉などのシーズンに反応が起こりやすくなりますが、常態性の場合は年間を通じて症状が持続することがあります。治療方法としては、アレルギーの原因となる物質を避けること、抗アレルギー薬の使用、点鼻薬が一般的に使われます。
②慢性副鼻腔炎とは
副鼻腔(鼻の周りにある空洞)の炎症が長期間持続する状態です。そもそも、副鼻腔とは空気を加熱・加湿し、過剰な粘液や微粒子を除去する役割を果たしていますが、このように炎症が生じると、鼻づまり、鼻水、顔面や頭部の圧迫感や痛み、嗅覚の低下、頭痛、喉の痛みや咳などの症状を生じます。
原因としては、細菌やウイルスによって炎症が生じるもの(非好酸球性)とアレルギー性に炎症が生じるもの(好酸球性)に大別することもでき、一般的には好酸球性のタイプは治りにくいです。
また、急性副鼻腔炎が治癒せずに慢性化するケースや、鼻のポリープや鼻中隔彎曲(鼻の仕切りが曲がっていること)、異物、アレルギー反応、免疫不全状態なども原因となりえます。診断は、症状以外には鼻の内視鏡検査、CTスキャンなどによって行われ、治療としては抗生物質や抗炎症薬、鼻洗浄、手術などがあります。
Sedaghat先生の研究から言いたいころをサマリーすれば、
「アレルギーと慢性副鼻腔炎が混同されたことで、長い間苦しまざるを得なかった患者さんを数多く見てきた」
「それまで何年も抗アレルギー薬を服用して治らないという方であれば、慢性副鼻腔炎である可能性があり、治療法が見つかるかもしれない」
「中等度以上の鼻づまり、鼻水、また少しでも味覚臭覚に異常を感じるのであれば、鼻腔への内視鏡検査にて実は慢性副鼻腔炎であったという可能性は十分にある」
ということです。
もちろん、中にはアレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎を併存しているケースも多くあります。ただし、長いこと抗アレルギー薬投与のみで、症状のコントロールに不満をかかえているのであれば、一度、慢性副鼻腔炎も疑って耳鼻咽喉科を受診する価値はあると思います。
当院では、耳鼻咽喉科では幅広く診断・治療を行っております。お気軽にご相談・ご来院ください。
参考文献:
健診やドックでの心電図異常——新宿内科耳鼻科クリニック・循環器内科—–
初めに、心電図は何をみている検査なのでしょう?
心臓は全身に血液を送るために、365日24時間、休みなく動き続けるポンプの役割を果たす臓器であり、筋肉の塊のような組織です。
胸のほぼ真ん中に位置する心臓の状態を把握するには、休みなく働いている心筋(心臓の筋肉細胞)の活動を観察することが、一番簡便で適格な検査と考えることができます。
そして、心筋(心臓の筋肉組織)は電気で動いています(収縮と拡張を繰り返す)。この心臓の電気的活動を、胸に電極をつけることで観測している検査が心電図検査です。
一般的な心電図検査とは正確には12誘導心電図といい、からだの外側から心臓の電気的活動を12方向から観察しています。おもには、不整脈など脈の乱れや、心臓の動きや形の異常(心筋症、心膜炎、狭心症、心筋梗塞、先天性心疾患)がないかを心臓の電気的活動からチェックしています。
基本的に健康診断や人間ドックでは、心電図検査機器に自動解析機能があり、その所見を元に健診医師が見たうえで、最終コメントを決定します。
一見すると単調に見える心電図ですが、解析は大変奥が深く、循環器専門医で実際に長い臨床経験がなければ自信を持って判断するのは難しい検査です。A Iが日進月歩で我々の日常で大きな役割を果たしつつある現在ですが、心電図の自動解析に関しては、未だかなりの発展途上にあり、専門医の判断には遠く及びません。
また、健診の先生は内科全般を広く評価することに長けている一方で、循環器の専門性を持っている先生は極めて稀で、自動解析の所見に従って、最終結果とすることが大抵です。
不整脈の検出
心電図の重要な役割の一つは、不規則な心臓のリズムや不整脈を特定することです。
心拍が速い、遅い、あるいは不規則であるなど多様な不整脈があります。時には、心房細動、発作性上室性頻発、W P W症状群、Q T延長症候群、ブルガダ症候群や心室頻拍などは、侵襲的治療(手術など)が必要なこともあります。
これらの不整脈を検出することは、早期介入と潜在的合併症の予防に極めて重要です。
心臓発作と心電図
心臓発作と聞くと、胸の痛みや、卒倒してしまうようなイメージがあると思います。
実際、不安定狭心症、急性心筋梗塞、急性心筋炎、高度徐脈、高度房室ブロック、致死性不整脈と言われる疾患では、実際に失神したり、突然死したりする原因になります。
心電図は、これらのリスクが高い疾患の評価において、基礎的検査として今も昔も重要な検査です。
結論
心電図は、心臓の状態を把握する一番基礎的な検査です。
心臓はあなたの体内で最もダイナミックに動的に活動している特別な臓器です。心臓の鼓動は、唯一我々が自ら感じ得る、生命の鼓動でもあります。そして、このダイナミックな臓器に対しての定期的チェックや、異常所見があった場合の2次検査は必須です。
心電図で異常を指摘されたら、まずは循環器専門医が在籍している医療機関を受診しましょう。
「新宿グリーンタワー内科クリニック」や法人系列の「新宿内科耳鼻科クリニック」には、循環器専門医が複数在籍しています。心臓が原因かもしれない胸部症状があったり、健康診断や人間ドックの心電図で異常を指摘された方へ積極的に2次検査を行なっておりますので、お気軽に受診ください。
心電図Q&A
心電図とは何ですか?なぜ重要なのですか?
心拍をとらえる検査は心電図と呼ばれ、心臓の電気的活動を表します。心臓のリズム、潜在的な不整脈、心血管系の健康状態を評価します。
心臓の状態を、非侵襲的(からだを傷つけない)に評価できる上、簡便に行えるため重要な検査と言えます。
このため、健康診断・人間ドックにおける心臓疾患のスクリーニングだけではなく、心疾患の患者さんにも、臨床現場で日常的に行われます。
心電図の波形の主な構成要素とは何ですか?
心電図波形は、P波、QRS複合体、ST-T部分、T波、U波など複数の構成要素から成ります。
心臓の4つの部屋(右心房・左心房・右心室・左心室)が収縮・拡張などをくり消す中で、各々の電気的な活動を示しています。
心電図の正常と異常はどのように見分けることができますか?
標準的な心電図パターンというものは存在しますが、年齢、性別、既往歴、常用薬、体格・体型など複数要因によって、これらの標準的パターンから逸脱することがままあります。
あるいは、一度だけの記録だけでは判断が難しく、複数回の検査による比較によって正常か異常かを判断することもあります。
よって、見分けるには、循環器専門医のいる医療機関での2次検査が必要です。
不整脈とは何ですか?心電図は不整脈の検出に役立ちますか?
不整脈とは不規則な心臓のリズムのことです。心拍(心臓のリズム)がはやい、遅い場合、リズムが不規則であるなど、不整脈はこれら全ての所見を含むことばになります。
心電図は心臓発作を診断できますか?
はい、どのような疾患でも心臓関連であれば、心臓発作中の心電図には何かしらの所見が出ることが多いです。ただ、心電図だけでは判断がつかないことも多く、その場合は追加検査を行います。
虚血とは何か、また心電図でどのようにわかリますか?
虚血では、心臓自身のエネルギー源となる血液を十分に得られなくなる現象です。
つまり、心臓を栄養する血管が詰まったり、詰まりかけたり、縮んだりすることで、一時的、あるいは持続的に心臓(心筋細胞)への血流が不足します。
狭心症や心筋梗塞と言われるのがその病態です。心電図ではその虚血になっているタイミングで検査ができれば心電図で異常が見られます。また、過去に心筋梗塞を起こしていた場合も、心電図でその傷跡のような形で所見が出ます。
心電図の結果に異常があった場合、心配すべきでしょうか?
結果が異常でも、必ずしも深刻な問題があるわけではありません。たくさんの要因が心電図パターンに影響します。事前に心電図や心臓における知見を自分で得ておくことは良いことですが、結果を自己判断するのはリスクを伴います。
また、心電図のみで心臓の全ての状態を把握することは難しいため、循環器専門医のいる医療機関を受診して、必要な診察・検査(心臓超音波検査・心臓に関わる血液検査・ホルター心電図など)を受けましょう。
医療従事者の意見を聞かなくても、自分で心電図の結果を解釈できますか?
心電図の基本的ないくつかの側面をネットなどから得ることはできますが、心電図の解釈は、医師であっても経験ある循環器専門医でなければ、正確な解釈は難しいと考えます。事前にご自分で、情報を得つつ、医療機関を受診しましょう。
心電図の結果に疑問や不安がある場合はどうすればよいですか?
循環器専門医がいる医療機関を受診しましょう。疑問や不安の払拭には、それが一番の近道です。
心電図は1回だけの検査ですか、それとも定期的に受けるべきですか?
心臓の状態によります。一通りの精密検査にて、異常がなくその後のフォローアップ目的の再診察が必要な場合もあれば、必要がない場合もあります。
生活習慣が心電図の結果に影響を与えることはありますか?
カフェイン摂取、喫煙、ストレスなどの生活習慣因子は心電図パターンに影響を与える可能性があります。検査前に、関連する生活習慣について問診などに記載しておきましょう。
心電図検査を受けることによるリスクはありますか?
安全で非侵襲的な検査です。皮膚に電極をつけるだけなので、検査は短時間です。
心臓に病気がなくても、心電図に異常が出ることはあり ますか?
不安、投薬、基礎疾患などの要因によって、必ずしも心臓疾患を示すとは限らない心電図異常パターンが生じることがあります。正確な解釈には、2次検査目的で医療機関受診が不可欠です。
正確で信頼できる心電図検査結果を得るためにはどうすればよいですか?
正確な心電図結果を得るためには、循環器専門医が在籍する医療機関に受診をしましょう。心臓に関する血液検査、心臓超音波検査、ホルター心電図検査(長時間ポータブル心電図)などの検査を受ける必要があります。
新宿内科耳鼻科クリニックでは複数の循環器専門医が在籍しております。2次検査や心臓に不安があれば、気兼ねなくご相談・受診ください。