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喉頭がんと咽頭がんの症状・検査とは?
咽頭がんと喉頭がんは、どちらも喉の部位に発生するがんで、早期発見が重要です。以下に、症状と検査方法について詳しく説明します。
咽頭がんの症状
咽頭は、鼻の奥から食道にかけての部分で、上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれます。部位によって症状が異なることがありますが、一般的な症状は以下の通りです:
- 持続する喉の痛み:風邪とは異なり、長期間続く喉の痛みがあります。
- 嚥下困難:食べ物や飲み物を飲み込む際に違和感や痛みを感じることがあります。
- 声の変化:声がかすれたり、出にくくなったりすることがあります。
- 耳の痛み:特に片側に耳の痛みが現れることがあり、これはがんが神経を圧迫している可能性があります。
- 頸部の腫れ:首のリンパ節が腫れることがあり、これはがんが転移しているサインかもしれません。
- 体重減少:食事が摂りづらくなることで体重が減少することもあります。
喉頭がんの症状
喉頭は声帯がある部分で、声を出すのに重要な役割を担っています。喉頭がんの症状は次の通りです:
- 持続する声のかすれ:2週間以上続く声のかすれは、早期の喉頭がんの兆候です。
- 喉の痛み:特に話をしたり、飲み込んだりするときに痛みを感じることがあります。
- 持続する咳:特に血が混じった咳が続く場合は、がんの進行が疑われます。
- 呼吸困難:腫瘍が大きくなり、気道を塞ぐことで呼吸が困難になることがあります。
- 異常な咳や痰:長期間続く咳や、血が混じった痰が出ることがあります。
検査方法
咽頭がんや喉頭がんの診断には、以下のような検査が行われます:
- 問診と視診: 最初に、医師が患者の症状や病歴について詳しく聞き取り、喉や口の中を視診します。視診だけで異常が見つからない場合も多いため、さらに詳しい検査が行われます。
- 喉頭鏡検査: 喉頭鏡という細いチューブにカメラがついた器具を鼻や口から挿入し、喉や声帯の状態を直接観察します。この検査により、がんが疑われる部位を確認します。
- 生検: 喉頭鏡や内視鏡で確認した異常な部分から組織を採取し、顕微鏡でがん細胞があるかどうかを確認します。生検は確定診断のために最も重要な検査です。
- 画像診断: がんの広がりや転移の有無を確認するために、次の画像検査が行われることがあります:
- CTスキャン:断層画像を用いて、がんの大きさや位置を詳細に確認します。
- MRI:より高精細な画像を得るために使われ、特に軟部組織の評価に優れています。
- PETスキャン:がんが他の部位に転移しているかどうかを調べるために用います。
- 超音波検査: 頸部リンパ節に転移があるかどうかを確認するため、超音波で腫れたリンパ節をチェックします。
まとめ
咽頭がんや喉頭がんは、早期の段階では症状が軽微なことが多く、見逃されがちです。しかし、早期発見により治療の選択肢が増え、治癒の可能性も高まります。声のかすれや喉の痛みが長期間続く場合は、速やかに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
当院の耳鼻咽喉では当日の順番予約で受診できます。以下耳鼻咽喉科の予約サイトリンク
新宿・東新宿・大久保の耳鼻咽喉科と内科
難治性喘息、標準治療では息苦しさ・咳が収まらない。。。生物製剤という選択肢。
喘息のコントロールが上手くいかなくて困っている方は少なくないと思います。
難治性喘息(難治性喘息)に対する治療は、一般的な喘息治療よりも複雑で、複数のアプローチを組み合わせることがよくあります。ここでは、難治性喘息の治療に関する主要な戦略をいくつか挙げます。
薬物治療
- 吸入ステロイド薬: 基本治療の中心であり、定期的に使用することが重要です。適切な用量と使用方法が効果を最大化します
- 長時間作用性β2刺激薬 (LABA): 吸入ステロイド薬と併用されることが多いです。
- 抗コリン薬(LAMA): 特にCOPDの治療薬として知られていますが、難治性喘息の場合には有効なこともあります。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬 (LTRA): ロイコトリエンという炎症物質を抑える薬で、喘息の症状を緩和します。
- テオフィリン徐放製剤: 気管支を広げる効果があります。
- 生物学的製剤: 抗体製剤などが含まれ、特定の炎症経路をターゲットにします。
抗IgE抗体(オマリズマブ): IgEをターゲットにすることで、アレルギー反応を抑制します。商品名:ゾレア
抗IL-5抗体(メポリズマブ、レズリズマブ): IL-5は好酸球の増殖に関与しており、その抑制が喘息の症状を改善します。商品名:ヌーカラ
抗IL-4Rα抗体(デュピルマブ): IL-4およびIL-13という炎症メディエーターを抑制することで効果を発揮します。商品名:デュピクセント
非薬物治療
- 気管支熱形成術: カテーテルを用いて気道の平滑筋を加熱し、気道の過敏性を低下させます。
- 喘息のトリガー管理
A. アレルゲン回避: アレルゲンが引き金となる場合、環境管理やアレルゲン免疫療法が有効です。
まずは血液検査でアレルギー検査を受けましょう。当院では迅速41種類アレルギー検査器にて当日結果をご報告しています。現時点で特定のアレルゲンをお持ちであるかを認識することは喘息をお持ちの方には重要なことです。
環境因子の管理: 喫煙、空気汚染、化学物質などの環境因子をできる限り避けるようにします。
生活習慣の改善: 禁煙やアレルゲンの除去、ストレス管理などが重要です1。
B. その他のアプローチ
- 併存症の治療: 副鼻腔炎や肥満など、喘息を悪化させる要因の治療も重要です。
耳鼻科疾患の既往や症状がある場合は、当院では耳鼻咽喉科医に問題がないか診察をしてもらいます。
- 吸入手技の確認: 正しい吸入方法を習得することが効果的な治療に繋がります。
薬物療法における1-4までの治療は一般的に行われる標準治療といえます。個人の体質や生活環境などによって、特に吸入薬は多くの選択肢がありますので、1-4までの組み合わせをベストにすることでコントロールが可能なことが大半です。
それでもコントロールがつかない喘息患者さんが少なくないのは事実であり、現在注目されている治療法としては、5の生物学的製剤の併用する方法です。皮下注射をおおよそ月1-2回行うことでアレルギー反応を大幅に抑制することで、結果的に喘息のコントロールをつけることができます。
対象疾患としては、スギ花粉症や蕁麻疹においても行います。
アレルギーに対する従来の治療法ではコントロールできない方には大変有効で安全性にも優れた良い治療ですが、生物製剤のため薬剤が比較して効果であることがネックになっています。およそ3割自己負担の方で、月に1~2万円の自己負担が生じます(確定申告で医療費控除の対象になるため、その分の税負担軽減はあります)。
→当院では重症患者さんに対する、生物製剤の導入も積極的に行っておりますので、お気軽にご相談ください。
治らないアレルギー性鼻炎。実は慢性副鼻腔炎の可能性があります。~最近の研究報告から新宿・東新宿にある耳鼻咽喉科の医療ブログ~
耳鼻咽喉科の話題を一つ。
アレルギー性鼻炎の診断で長く治療を受けているものの、なかなか治らないというご経験をお持ちの方はいませんか?
アメリカのシンシナティ大学、耳鼻咽喉科頭頚部外科の先生からの研究報告で、「実は慢性副鼻腔炎の患者さんであったケースが多く見られ、副鼻腔炎の治療を開始することで症状が改善した」という内容です。シンシナティといえば、スティーブン・スピルバーグ(映画監督)やピート・ローズ(元MLB野球選手)の出身地としても有名ですね。
筆頭著者のSedaghat先生は、アレルギー性鼻炎だと信じ込まれて数か月、場合によっては数十年アレルギーの治療を受けてきて、結果的に慢性副鼻腔炎であった患者を非常に多く見てきたとのこと。
米国人の約15%が慢性副鼻腔炎であり、日本においてもとても身近な病気です。
誤診される最も大きな理由が、症状がとても似ているということです。鼻水、鼻づまりは最もよく見られる症状である他、鼻の奥の圧迫感もどちらでも持ちえます。
前提として、
①アレルギー性鼻炎とは
アレルゲンと呼ばれる特定の物質に対する過敏性反応が原因で起こる鼻の炎症であり、アレルゲンとしては、花粉、ハウスダスト、ペットの毛や皮膚の一部、カビなどが一般的です。炎症は鼻の粘膜の過敏反応により引き起こされ、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血などの症状が出現します。
アレルギー性鼻炎は季節性のものと常態性(通年性)のものに分類されます。季節性の場合、特定の花粉などのシーズンに反応が起こりやすくなりますが、常態性の場合は年間を通じて症状が持続することがあります。治療方法としては、アレルギーの原因となる物質を避けること、抗アレルギー薬の使用、点鼻薬が一般的に使われます。
②慢性副鼻腔炎とは
副鼻腔(鼻の周りにある空洞)の炎症が長期間持続する状態です。そもそも、副鼻腔とは空気を加熱・加湿し、過剰な粘液や微粒子を除去する役割を果たしていますが、このように炎症が生じると、鼻づまり、鼻水、顔面や頭部の圧迫感や痛み、嗅覚の低下、頭痛、喉の痛みや咳などの症状を生じます。
原因としては、細菌やウイルスによって炎症が生じるもの(非好酸球性)とアレルギー性に炎症が生じるもの(好酸球性)に大別することもでき、一般的には好酸球性のタイプは治りにくいです。
また、急性副鼻腔炎が治癒せずに慢性化するケースや、鼻のポリープや鼻中隔彎曲(鼻の仕切りが曲がっていること)、異物、アレルギー反応、免疫不全状態なども原因となりえます。診断は、症状以外には鼻の内視鏡検査、CTスキャンなどによって行われ、治療としては抗生物質や抗炎症薬、鼻洗浄、手術などがあります。
Sedaghat先生の研究から言いたいころをサマリーすれば、
「アレルギーと慢性副鼻腔炎が混同されたことで、長い間苦しまざるを得なかった患者さんを数多く見てきた」
「それまで何年も抗アレルギー薬を服用して治らないという方であれば、慢性副鼻腔炎である可能性があり、治療法が見つかるかもしれない」
「中等度以上の鼻づまり、鼻水、また少しでも味覚臭覚に異常を感じるのであれば、鼻腔への内視鏡検査にて実は慢性副鼻腔炎であったという可能性は十分にある」
ということです。
もちろん、中にはアレルギー性鼻炎と慢性副鼻腔炎を併存しているケースも多くあります。ただし、長いこと抗アレルギー薬投与のみで、症状のコントロールに不満をかかえているのであれば、一度、慢性副鼻腔炎も疑って耳鼻咽喉科を受診する価値はあると思います。
当院では、耳鼻咽喉科では幅広く診断・治療を行っております。お気軽にご相談・ご来院ください。
参考文献: